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出す企画ぜんぶダメ出しを食らったうえ、コンセプトから見直すことになった。もう一ミリもやる気は残っていない。ゼロどころかマイナスになっている。こんな時の有給だろうと、俺は強引に時間休を取った。
物価は高いのに給料は上がらない。そんな世の中でも、高架下にある虚無珈琲店はいつも混んでいる。
ぽやんとした邪気のない店員が声をかけてきたので、席に案内される前にたずねた。
「まだ『価値』ありますか?」
ここのブレンド珈琲には独特の名前がついている。店員は申し訳なさそうに答えた。
「すみません、価値は午前中で終わりました」
「じゃあ『自尊心』は?」
「あ〜、それも……。『意義』ならありますがいかがでしょうか」
「いいですね。それにします」
奥まった席でひとり静かに意義ブレンドをすすると、頭のなかがリセットされ、仕事に意義を見いだせた。俺は代金を余計に払って会社に戻った。
物価は高いのに給料は上がらない。そんな世の中でも、高架下にある虚無珈琲店はいつも混んでいる。
ぽやんとした邪気のない店員が声をかけてきたので、席に案内される前にたずねた。
「まだ『価値』ありますか?」
ここのブレンド珈琲には独特の名前がついている。店員は申し訳なさそうに答えた。
「すみません、価値は午前中で終わりました」
「じゃあ『自尊心』は?」
「あ〜、それも……。『意義』ならありますがいかがでしょうか」
「いいですね。それにします」
奥まった席でひとり静かに意義ブレンドをすすると、頭のなかがリセットされ、仕事に意義を見いだせた。俺は代金を余計に払って会社に戻った。
その他
公開:25/05/30 18:59
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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