はじめての

涙を流す私に、その人は優しくしてくれた。
苦しむ私に、手を差し伸べてくれた。
それを知らなかった時、私はそれを散々バカにした。
それを知って初めて、私はその苦しみに耐えかねていた。
私は見捨てられてもおかしくない存在だ。
それなのに、この人は優しくしてくれる。
辛さに寄り添ってくれる。
今までのことを謝ろう。
その上でどうしたらいいか、教えてもらおう。
その人は私ににっこり微笑みかける。
「この病にはね、治療法や特効薬なんて存在しないんだよ。これから一生、付き合っていく病だ。ようこそ、花粉症へ。私達は君を歓迎するよ」
涙と鼻水が止まらない。
これは絶望によるものなのか、花粉症によるものなのか、もはや私には判断がつかない。