紫陽花

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いつも通り栄養ドリンクを一気に飲み干し目の下のクマと出社すると、会社の玄関口に紫陽花が植えられていた。年中重い瞼も上がる程の真っ白な紫陽花が。

「ここの社員さん?…お疲れさま。もう大丈夫だよ」

ぼんやり紫陽花を眺めている私に話しかけてきたのは、植木職人風の優しそうなおじさんだ。

「…大丈夫…何が?」
「この紫陽花は色を変えるから」

紫陽花が土によって色を変えるのは知っているが、そレデナニがだイじょーブナンだロ?思考が遂にストップした私へおじさんはただ微笑むだけだった。


定時退社…本当に存在するとは!
紫陽花が植えられてから、ブラックな職場環境が改善された。風通しのよい人間関係、程よい業務量…まるでホワイト企業だ!どうやらあの紫陽花はその場の空気の色を変えてくれるものだったらしい。

今、生き生きと働く皆の中で困り顔なのは部長だけだ。お得意のブラックジョークのキレが悪いんだって。
その他
公開:25/05/27 11:02
更新:25/08/12 16:26

ネモフィラ( 更新停止 )

読んだ人に笑顔になってもらいたいという想いから投稿し始めましたが、私の文章ではそういったものが届けられないのだろうなぁと気づかされました。

今は書こうと思うとただただ悲しくなるだけなので、もう投稿することはないかもしれません。
アカウントは残しますがこれ以降浮上することもないかと思います。

短い間でしたが今までありがとうございました!
たくさん学ばせて頂きました。
お元気で。

2025.9

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