モヤモヤ、分けてください!

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私は最終手段に出ることにした。小中高の同級生、辞めたサークルの後輩、ほぼ話したことのない学科の男子、全員に連絡を入れた。
「卒論の研究に必要なので、モヤモヤを吐き出して分けてもらえませんか?」

「お願いします!」
A子は手渡された真っ黒なビニール袋にフーッとモヤモヤを吐いた。 
「いくつ集めるの?」
「月末までに100。これで78。超やばい」
「大変だね。うちライブの当落控えてるからその時また協力できるかも」
「ほんと?助かる!ちなみに今モヤモヤはどう?」
「んー。晴れたかも。もう既読つかないのは仕方ないかー」

「モンちゃんただいまー。モヤモヤ集めてきたよー」
卒論の研究は嘘だ。モヤモヤは、爬虫類好きの私が一人暮らしと共に飼い始めたモヤモリのモンちゃんの嗜好品なのだ。
「どうぞ」
袋の口を開けると、モンちゃんは2メートル近く育った巨体を揺らしながらモヤモヤを吸い、恍惚の表情を浮かべた。
その他
公開:25/05/24 16:09
モヤモヤ祭り もやもや祭り ありがとうございました!

ぱせりん( 中四国 )

北海道出身です。

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