はじめての

今日、学校へと向かう私は駅でいつもの切符ではなく、ふと気になった見慣れぬ切符を購入してしまった。
それを手に電車へと乗り込む。
電車は学校の最寄り駅に到着する。いつもであれば降りるそこで降りず、私は手元の切符をじっと見つめた。
初めてのサボタージュ。ちょっとドキドキする。
目的地に到着した。目の前には海が広がっている。
そうか。私は海に呼ばれたんだと浜辺へと向かう。
誰もいない、静かな海をただただじっと見つめる。
今だけはスマホの着信音を無視した。

行きと違い、帰りは憂鬱だった。
親にどう説明しよう…そればかりを考えていたが、親は意外にもあっさりと私のサボりを許してくれた。
聞けば両親も学生時代にふと思いついて、逃げ出した事があったという。
それは決して推奨された行為ではない。だが、そう言った衝動に突き動かされるのも若い証拠だと笑ってくれた。
サボりとは小さな冒険である、と教えてくれた。