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病床の師は、死期を悟り医療行為は不要と宣言した。
私を含めた弟子達の説得を朗らかな笑顔で柔らかく拒んだ。しかし弟子達は食い下がった。
「皆の気持ちは分かった。ならばその気持ちをこの錠剤に込めておくれ。最高の薬だ」と、皆にラムネ菓子を配った。
私は師の病を根治させる特効薬となるべく、本気で手のひらの錠剤に願をかけた。
他の弟子たちも与えられた一粒に、めいめい願をかけた。
師は毎日一粒ずつ服用すると約束した。
薬を飲み切る頃、師の病状は悪化の一途をたどった。
私は、弟子の中に毒薬になるように願をかけた者が居たのではと問うた。師は私を制し振り絞る声で
「私の事を疎ましく思う者がいたかもしれない。単に寿命を迎えるだけの事かもしれぬ」
師は自分の懐から錠剤を取り出し口に含んだ。
「これは自身で願を込めた分じゃ。要は…」
『何を信じるかで真実なんぞ変わる』
朗らかな遺影を前にその言葉は彷徨っている。
私を含めた弟子達の説得を朗らかな笑顔で柔らかく拒んだ。しかし弟子達は食い下がった。
「皆の気持ちは分かった。ならばその気持ちをこの錠剤に込めておくれ。最高の薬だ」と、皆にラムネ菓子を配った。
私は師の病を根治させる特効薬となるべく、本気で手のひらの錠剤に願をかけた。
他の弟子たちも与えられた一粒に、めいめい願をかけた。
師は毎日一粒ずつ服用すると約束した。
薬を飲み切る頃、師の病状は悪化の一途をたどった。
私は、弟子の中に毒薬になるように願をかけた者が居たのではと問うた。師は私を制し振り絞る声で
「私の事を疎ましく思う者がいたかもしれない。単に寿命を迎えるだけの事かもしれぬ」
師は自分の懐から錠剤を取り出し口に含んだ。
「これは自身で願を込めた分じゃ。要は…」
『何を信じるかで真実なんぞ変わる』
朗らかな遺影を前にその言葉は彷徨っている。
その他
公開:25/05/15 17:47
まずは自分が楽しむこと。
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