バラの異世界

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 薔薇色の人生とは何色だろう?赤?いや、白やピンク、オレンジだってありえる。
 ある日、異世界に転生した……と思う。自信がないのは、基本的には同じだから。

 唯一違うのは、この世界の人は「自分のバラ」を持っていること。

「私のバラ、少し萎れちゃって」とか「今朝は元気に咲いてたよ!」とか日常会話として飛び交っている。最初は急にバラ栽培のブームが来たのかと思い、戸惑いつつ適当に話を合わせた。
 しかし、文脈から推測したり、それとなく人に聞いてみたりした所、どうやら違うらしい。わかったことは
・誰もが幼少期から大切に育てる
・それぞれに形や大きさ、色が異なる
・他人に見せることはできず、姿や様子を伝えるのは親愛の証

 なるほど。感性や価値観 、つまり「心」に近い概念のようだ。
 そう気づいた時、私の内に咲く一輪のバラを知覚した。元の世界にいた時から、実はずっと、そこにあったのかもしれない。
ファンタジー
公開:25/05/18 09:15

いぬさか( 関東 )

初心者ですがよろしくお願いします。
心に浮かんだシーンを気ままに描いていきたいです。
同名で NOVEL DAYS でも活動しています。

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