私情競争

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「僕に恋愛を求めない方がいいよ」
私の告白に佐凍君は冷たかった。
そして、自分は地球の保冷剤なのだと明かした。温暖化はとっくに末期であり、本来の気温はこんなもんじゃないらしい。しかし貴重な氷人間がいるおかげでギリギリ今の環境が保たれている。もし彼の心に熱でも出たら…
「自分の私情で地球を滅ぼしたくないでしょ」

私の恋で地球が滅ぶ? 
なら私が救うまでよ…!
私は会社を設立し、地球を冷やすために全力を注いだ。すべては彼と愛し合うため。冷えろッ冷えろッ。

努力は数年後に結実した。ついに温暖化問題が解消したのだ。
私は救世主と呼ばれた。でも、最後にやることがある。
会社に佐凍君を呼んだ。
ところが彼は私に会うなり激昂した。
「君のせいで僕の価値は下がってしまった。僕の人生は終わりだ…契約金もタワマンも全部パアになった!」
「落ち着いて」と彼を冷静にしようとしたが、すでに私の恋は冷めていた。
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公開:25/05/17 22:36

紅石紗良( 北陸 )

思いついたアイデアの備忘録を兼ねて書いています。よろしくお願いします!
Talesで連作を執筆中です。鉱物や宝石にご興味がありましたらぜひご覧いただければと思います。
https://tales.note.com/creche_collage/wmnx0phfegkgm

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