はじめての

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「私はもう長くないわ…だからお願い。花火の美しさを、この目に焼き付けておきたいの」
私のお願いを彼は聞いてくれた。沢山の花火の入った大きな袋を買ってきて、私に花火の記憶を焼きつけてくれた。
ありがとう…これでもう、思い残す事は何もない…
なんて、悲劇のヒロインに酔っていた過去の私をぶん殴ってやりたい。思い出すだけで顔から火が出そうだ。
「花火、買ってきたぞ~」
花火の大袋を見せてくる夫。あの時の彼である。
「今年最初の花火だぞ。皆で記憶に残るくらいパーッと楽しもう!」
まるで子どもみたいな夫に子ども達は呆れている。喜んでいるのはひ孫達。
いやはや…もう長くないと言っていた私がまさか夫と共に米寿を迎える事になるとは…
「ほい。婆さん。儂らはこれだ」
線香花火を渡してくる彼。二人並んで花火に火を点ける。
もう70年以上、その年初めての花火はこれから始まる。
今年も淡い光が、私達をそっと照らす。
公開:25/05/14 22:32

幸運な野良猫

yahoo!サーバーに問題が発生したらしく2022年9月1日より2週間入れなかったので新規にアカウント取得。
半年以上毎日Yahoo!IDでログインを試みるも、現在進行形でログインできない状態です。#EY003って何だ?
そのIDも凍結されてしまったので旧アカウントには手出しができない状態です。
運営に報告するも、ずっと無視されております。自動応答メールだけが返ってくる…1年経過で、もう諦めた…2年経過で、ただただ失望した…

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