月明かりの森

13
11

東京の大学から久しぶりに実家に帰ると姉が待っていた。
「ちょっと一緒に来て」
私は姉の車に乗り、静かな夜道を走ると祖父が所有する森に着いた。
満月が森を明るく照らしていた。

ふと空を見上げると秋の夜空に何かが飛んでいる。

姉が素早く車のトランクから弓矢を取り出し矢を放つと
何かが落ちた。

落ちた場所に二人で行くと林檎が落ちていた。
姉は次々と空に矢を放つ。
ぶどう、柿、梨が落ちた。
「これが本当のフルーツ狩りね!」と元弓道部の姉は笑う。

姉の話を聞くと父の営む果樹園で果実が無くなったと言う。

泥棒の仕業かと思い、夜中に姉が張り込んでいると
無人の木から果実がもぎ取られ森に飛んで行く瞬間を見た。

私は幼い頃に祖母から聞いた話で
邪鬼が姿を隠して果実狩りをするという昔話を思い出していた。

気が付くと姿を隠していた邪鬼が次々と現れる。

私達は急いで車に戻り全速力で邪鬼から逃げた。
ファンタジー
公開:24/10/20 12:50

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容