木の実と葉

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 木の実と葉の間で必要な物資を運搬するための道路の役割をしている小枝たちの声が聞こえます。
「実がなると僕たちの仕事量は増えるよなぁ。倒れそうだよ」
「全くだね。僕のところは実が無いから葉っぱだけを気にすればいいけど、君のところは大変そうだね」
「そうなんだよ、一生懸命に土の中から水分を吸い上げてるけど全然足りないんだよね」
「同情するよ。それに君がいる場所は僕と違って真南向きで太陽を遮るものがないからクラクラしそうだしね」
「うん、ビルの影になっている君が羨ましいよ。実にも水分が必要だし葉っぱは光合成のために更に水分が必要だからね。運んでも運んでもキリがないんだよなぁ」
 小枝さん同士の愚痴が聞こえる炎天下の秋です。今年の秋は真夏日の延長線のような天候で木々たちも悲鳴をあげているのです。葉っぱに水分を取られて実を大きくするための水分が足らなくなるのを気にして小枝たちは懸命に働いています。
ファンタジー
公開:24/10/20 12:02
更新:24/10/20 13:09
#シロクマ文芸部

松浦照葉( 福岡県 )

IT業界を卒業し、小説執筆中です。
普段はnoteでショートショートを投稿しながら、AmazonとAppleと楽天で小説、実用書の電子書籍を販売中です。
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