おめでとう

位置について、よーいどん！
スタートの合図で僕たちは一斉に前へ進む。今回の参加者は数えきれないほどいる。一説によると、2〜3億ほどだそうだ。
このトライアスロンは7km弱を最初にゴールできた人のみが優勝である。短く思えるが、コースの途中にはいろんな障害物が設置されている。酸性の海やそびえ立つ高い壁など、とてもハードでほとんどが脱落する。酸性の海を泳ぎ切れる確率は1万から2万分の1らしい。僕はなんとか泳ぎきれた。けれど、ここからが大変だ。ゴールを守る壁を一番先に壊して穴を抜けなきゃいけないが、壊していると自分たちの体力も減るのだ。
ここで僕は初めて考える。そして一つの方法を選ぶ。今まではみんなと同じことをしていた。けれど、みんなとは違うやり方をしてみる。不安と怖い気持ちでいっぱいだけれど、この先に何かあると信じて僕は疑わない。僕は僕を信じて進む。