友達の話
2
2
「これは友達の話なんだけど……」といって会話を始める人が、私の周囲に多くいる。あの手の定型文は、結局のところは自分の言いたいことを他人というヴェールに包むことで、相手からのリアクションが与える作用を、その良し悪しとは関係なく軽減しようとする、一種の防衛反応と思えてならないのです。そして聞かされるほうの人も、大抵は友達の話ではない、自らの話をしていると気付いていながら、そうでないふりをするのです。心の中のどこかで、憐憫とも嘲笑ともつかぬ薄笑いを浮かべながら、虚構を纏った話を聞いているのです。結果的に、互いに噓をつくことで、そうでない時もありますが、円滑なコミュニケーションというものを形成しているところに、人間の本質というものが見え隠れしているのです。
と、友達が言っていた。私のことでは断じてない。
と、友達が言っていた。私のことでは断じてない。
その他
公開:24/10/22 23:36
2006年生まれ、高校生。名前の由来は「白羽の矢」。勉強の傍らに思いついたアイデアを息抜きに形にしています。
ログインするとコメントを投稿できます