ちょっと立ち止まって

20XX年、政府は国民全員が情報を平等に受け取るためのデジタル化社会をデザインした。その施策の一環として、国民全員に情報受取専用端末を配布し利用を促した。しかし、情報の既読率は低いままだったため、その端末を用いてとあるキャンペーンを開催した。抽選で当たった人には将来を約束する権利を与える。権利を使えるのは、通知が来てから1分以内というものだ。その結果、国民の既読率は95%まで上り、今日までその水準を維持している。情報のために端末に集中するのは不思議な光景だけど、慣れてしまった。僕もそのうちの1人だ。しかし、僕は来年は受験生だ。たしかに政府の施策は、一発逆転への道に思えるし、将来安泰への道なのかもしれない。しかし、本業に支障をきたしているように思える。そういえば、先輩たちは大学受験の結果が散々だったみたいだ。僕の今やるべきことはなんだ？