ドント・ラーフ

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各国精鋭の探査チームを乗せた宇宙船はWR星まであと三ヶ月の距離に到達していた。
WR星は地球と相似の環境を持つ双子星である。
一点だけ人間には大変厳しい環境の違いがあった。
けして笑ってはならないということである。
WR星の大気に含まれる特定成分と人間の笑い声の特定周波数とが異常干渉を起こし超爆発を発生させるのだ。
笑えない話である。
笑いさえしなければなんら地球と変わりなく快適な生活ができる。
地球は近く廃星となる。移住先の選定は緊急課題であった。

今回の探査チームは大変悩ましい問題を抱えていた。
搭乗手続きの大きな手違いで激しい思い出し笑い癖をもつ隊員を誤搭乗させてしまったのである。
到着までに隊員たちがプログラムを組み彼女に笑わない訓練を行う必要がある。
精鋭チームがそのあり得ないテーマで真顔で結束するのを見るだけで彼女の唇はもう宇宙船を細かく揺るがすほどプルプル震えている。
SF
公開:24/10/21 22:12
更新:24/10/21 22:16

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