冷蔵庫からの贈り物

4
3

冷蔵庫の中は今日も賑やか。
新入りのちくわがびょんぴょん跳ね回る。
「静かにしてくれ!二割引きのちくわ!」
彼らなりの冷えらるきー、いやヒエラルキーがあるようだ。
出ていく面々から昨夜はカレーだと察しがついたが今夜は大勢の出番となり、代わりにケーキがドンと座っている。
ケチャップがドアに密着し聞き耳をたてた。
「タクがケーキにイチゴが乗っていないとゴネてるぞ」
「なるほど誕生日か」
タクが来たぞ!足音で判る。
「急げ!」
古株の味噌が指揮を取る。
イチゴとカットフルーツがちくわの背中に乗って彼をバネにケーキ箱の隙間に飛び込んだ。
ドアが空いてタクが覗きこむ。
彼らはいつもの定位置で涼しい顔を決めている。
タクがケーキを見て一瞬不思議な顔をしたがたちまち顔がほころんだ。
「来年こんな可愛いおねだりするかな」
ちくわが言うと、
「俺たちいるわけねえだろ」
と定価のはんぺんに冷ややかに返された。
公開:24/10/17 10:22
更新:24/10/17 10:45

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容