やみくもレーダー

6
6

急に街の空気が変わった。
店先で商品を次から次へとカゴに放り込む奥様。「これも買っちゃえ!」
隣のコンビニでは突然タイムセールが始まった。「今だけスイーツ半額!」
街頭アンケートを取っていた人は小学生にまで声をかけ始めた。「選挙に関するアンケートにご協力お願いしまーす」「ぼく選挙権ないんですけど…」
ネットニュースを見ると、近くの施設で対局中の将棋棋士がテキトーな一手を指してピンチに陥っていた。

もしかしてこれは…
僕はスマホのアプリを立ち上げる。
「やっぱりそうだ」
やみくもレーダーを見ると画面は真っ赤。激しいやみくもがこの地域に近付いていることがわかった。どうりでみんなやみくもなわけだ。
「これはまずいな」
僕は逃げるように自転車を飛ばす。

だけどどうやら手遅れだったらしい。
「遺失物等横領罪で逮捕だ!」
お菓子をくわえた野良ネコに向かって僕はやみくもに手錠を振り回していた。
公開:24/10/16 17:32
更新:24/10/16 17:44

山吹 橙子

山吹橙子(やまぶきとうこ)と申します。趣味で小説にチャレンジ中の会社員です。
楽しい話が書きたくて日々精進しています。
ど素人のひよっこですがよろしくお願いします!

※コメント下手ゆえ、⭐︎の押し逃げをすることがあります。お許しください。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容