撮り鉄

俺にはその列車の何がいいのかさっぱり分からない。だが今や、線路上は鉄オタでいっぱいだ。
当然これは列車の運行を邪魔をする行為。禁じられている。
だが鉄オタはそれを承知の上で遮断機が下りてなお、線路内で写真を撮ろうとする。そうした者が遮断機の内側で溢れている。
列車が迫って来た。
鉄オタは急いで逃げようとするも、人が多すぎて身動きが取れない。
押し合い圧し合いの地獄絵図。列車はどんどん近づいてくる。列車は急には止まれない。
耳障りな音を立てて、鉄オタが轢かれた。
俺はそれにカメラを向ける。
憧れの列車に轢かれ、嬉しそうな表情を浮かべている死体。
生き残った者はこれから払わされる賠償金に顔を青くしている。
人間のリアルな表情。俺はその魅力に取りつかれた。
それ以来、俺は危険な行為を繰り返す迷惑な鉄オタの撮影を始めた。
この写真を見てくれ。凄く良い笑顔を浮かべているだろ？俺の友人だったものです。