窓からの景色

バイト中、窓の外を見る。凄い霧だ。１時間前から目の前の駐車場の様子ですら確認できない。
スマホを見ると濃霧警報が出ている。
この霧だ。外に出るのは危ない。客は来ないだろう。

１日が経過した。霧はまだ晴れない。
コンビニなので飲食は大丈夫。電気や水道といったライフラインも生きている。
外に出てみようかと思うもやめた。窓から手を出してみると霧の中に突っ込んだ腕が見えなくなる。
一寸先は白。腕を包む生暖かい霧に気味の悪さを感じ、急いで窓を閉じる。

１週間後。まだ霧は晴れない。
そんな中、バイト仲間が試しに外に出ると言い出した。
止めても無駄だった。霧の中を進むバイト仲間。呼びかけるも返事はない。
すぐに戻ると言っていたのに戻ってこなかった。

１カ月後。霧が晴れる様子はない。白で塗り潰された窓の外。
私は今日も霧にため息をつくと外から聞こえる悲鳴に耳と心と空気を入れ替え終わった窓を閉ざした。