浸透

Ai党が議席の半数以上を獲得し、ついにアンドロイドが人間社会を治める事となった。
技術変革を過度に有り難がる大衆。アンドロイドにも人権をと屁理屈をこねた人権団体。悪ふざけで票を入れた若者たち。アンドロイドと人間の区別がつかない高齢者たち。
無責任票がこの結果を招いた。
アンドロイドの感情は人間をベースにプログラムされていて私利私欲が旺盛だ。一方で知力も体力も人間の及ぶところでない。
人間議員の入閣はなく組閣当日にアンドロイド増加計画が掲げられた。
日本列島に台風のようなため息が流れた。
人々はさらにこれがアンドロイドの問題などではなく、それにうまくすり替えられた、とある国家の策略であったと気付くこととなる。

ある家庭のごくありふれた朝の風景。
英語を学び始めた女の子がお手伝いアンドロイドの背中のプレートを見つけ辿々しく読む。
「Made in ..」
玄関を出ようとした父親の足が止まる。