窓からの景色

銀河鉄道内に山猫軒が食堂を開いているのは御存じだろうか？
その昔、ジョバンニとカムパネルラという二人の少年がここを訪れた。
二人は山猫軒の出す多くの注文をこなした。さすがにここでは全身にクリームを塗れだとのいった注文はない。
ここでの注文とは山猫軒の抱える問題の解決である。二人はそれに積極的に挑戦した。
そのお礼として、山猫軒は食事を振る舞った。出された料理は二人が初めて口にするものばかり。
気になった料理に「これは何ですか？」と聞くと「それはクラムボンですね」と答えられる一幕もあった。
正体不明のそれに二人は恐れるどころか笑って口にする。
食事を楽しみながら窓の外を眺める二人。星の輝きで埋め尽くされた美しい場所。
今だけは何も考えず食事と景色を楽しむ。
そんな二人の前を、ひときわ美しい燃える星が横切った。
愛しいものを追うその姿に二人は目を奪われた。
ジョバンニはよだかに己を重ねていた。