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家族がそろう最後の晩になるかもしれないというのに、大広間に集まった3世代14人はものの見事にバラバラだった。
お互いの視線は合わさず、笑顔を浮かべているものもいない。
国王は心あらずで、王妃はガマガエルのように口をひん曲げている。背後にいる老夫と老妻は、現状を認識して厳しい顔をしている。反対側を向いて顔を隠す婦人までいる。
もはや王国の崩壊は目前に迫っていた。
そのようなことを知らさない皇太子だけは、凛々しい顔を正面に向けていた。ひときわ鮮やかな深紅の服を身にまとい、瞳には希望が溢れている。
少年だって理解していた。近々、王国は崩壊する。家族は殺され、運よく逃げることができでも亡命は避けられない。
それでも、悲しい顔はしたくなかった。
将来を悲観するのは、大人たちだけで十分だから。
お互いの視線は合わさず、笑顔を浮かべているものもいない。
国王は心あらずで、王妃はガマガエルのように口をひん曲げている。背後にいる老夫と老妻は、現状を認識して厳しい顔をしている。反対側を向いて顔を隠す婦人までいる。
もはや王国の崩壊は目前に迫っていた。
そのようなことを知らさない皇太子だけは、凛々しい顔を正面に向けていた。ひときわ鮮やかな深紅の服を身にまとい、瞳には希望が溢れている。
少年だって理解していた。近々、王国は崩壊する。家族は殺され、運よく逃げることができでも亡命は避けられない。
それでも、悲しい顔はしたくなかった。
将来を悲観するのは、大人たちだけで十分だから。
その他
公開:24/10/09 12:22
更新:24/10/26 10:57
更新:24/10/26 10:57
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