4
5

 人間界で1月1日は元日と呼ばれ、多くの人が神社にお詣りに行く。商売繁盛、家内安全、合格祈願と様々な願いをする。一方、神様の世界ではこの時期は夏。毎年1回、大規模な縁日が開かれる日だ。
「おじさん、金魚すくい1回ね」 「ほいよ、坊主。1回100円な。」 浴衣を着た男の子にポイを渡す。
「坊主じゃないよ。恵比寿って立派な名前があるんだ」 「がはは、すまないな。お嬢ちゃんはどうする?」
 恵比寿の後ろに立つ女の子に聞いた。彼女は照れくさそうに頷き、100円を渡す。
「君たちは七福神だね?そちらは弁財ちゃんかな?」
 弁財ちゃんは頷いた。
「金色の金魚が商売繁盛、桃色が縁結びだ。」
 二人は言われた金魚を狙いポイを沈めた。二人は各々一匹づつすくった。
「やった~!大きいのすくったよ。」 「これは倒産寸前の店主の願いだ。三が日過ぎたら、彼の店は繁盛するな。」
 二人は笑顔で金魚を持ち帰った。
ファンタジー
公開:24/10/09 08:49

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容