夜からの手紙

拝啓
お元気でしょうか。あなたが昼間の生活で忙しい時、私の住む国は夜なので眠りについている時間なのでしょう。あなたが明るい時間にこの手紙を読んでいるのなら、この便りは夜からの手紙ということになるのでしょうね。
最も文章を認めたのは夜になってからなので、必ずしも嘘ではありません。あなたへの強く募る想いを表現するには夜に輝く月や星の力を借りるしか私には術がありません。貴方を連れて一緒にこっちに来たかったのですが、最後まで言い出すことができませんでした。何よりも断られることが怖かったのです。そんな勇気のない僕に力をくれたのは夜の月と星たちでした。こうして手紙に想いを認められるのも夜に背中を押されたからです。私にとって貴方がいかに大切な存在であり、離れたくない存在であるということが、こちらに来て解ったのです。今すぐにでも飛んでいきたい気持ちで私の心は張り裂けそうです。来週一度帰国します。　　敬具