失明　～危険な治療方法～

事故で失明した私は絶望した。
私の両目は暗闇に閉ざされ、もう二度と光を見る事はない。その現実に死ぬ事すら考えた。
そんな時だ。両目に光を取り戻す危険な治療方法があると聞いた。
危険でも何でもいい。両目に光を取り戻せるのなら命だって賭けよう。
だがいざ治療を受けてみると、これのどこが危険なのかさっぱり分からない。
一組の男女が苦難を乗り越え、結ばれる。言ってみればそれだけの話を聞かされる。
とはいえ物語には一言では言い表せない感情が込められていた。
尊い二人の関係に私は何度だって感動した。二人の笑顔の眩しさと言ったら…えっ？眩しさ？
恐る恐る目を開く。私の両目は、光を取り戻していた。
尊さによる眩しさを呼び水として目に光を取り戻す治療。私はそれに成功していた。こんな簡単でいいのか？と困惑してしまう。
医者は言う。この治療方法は強い尊さに当てられて尊死する者も少なくない、危険な治療法だったと。