私は星になりたい

死後の世界は私が思っていたものと全然違っていた。
そこには天国も地獄もなく、なんの変哲もない待合室のような場所だった。
「貴方の希望生まれ変わり先は”お星様”で間違いありませんか？」
赤いエプロンをつけたスーパーの店長風おじさんからの質問。
まるで面接だ。少し緊張しながらも聞かれた事に答えていく。
「はい。分かりました。それじゃ早速明日から研修始めるから、遅刻しないようにね」
立ち去ろうとするおじさん。まるでバイトの面接だ…やる気あるのか？
「死後、星になりたいって方は多いんですよ。ただ…合格率のかなり低い国家試験だから皆、星になる前に生まれ変わるんです」
そういう事か…端からなれないと思われているみたいだな。
「お孫さんとの約束なんですよね。貴方がお星様になれるよう全力でサポートします」
死後の世界は私が思っていたものと全然違っていた。
そこは努力次第で、天国にも地獄にもなる場所だった。