窓からの景色

夜。食事を済ませ、使った食器を洗いながらふと視線を前に向ける。
窓に疲れた顔の私が映っていた。それを見て、思わず笑ってしまう。
「酷い顔しているな、私」
窓に映った私にそう話しかけると、窓に映った私は少しやつれた顔で笑った。
今、私こんな顔をしているんだ…それは鏡では映し出してくれない本当の私の姿。
それを見て、今日はこの後、お風呂に入って寝ようと決めた。
仕事を持ち帰っているがこれ以上働くと窓に映る私の姿がゾンビになってしまう。
窓に嘘はつけない。メイクで誤魔化したところで窓はメイクの下にある素顔を暴いてしまうだろう。
窓に映る私を綺麗にする為に今一番必要なのは休息だ。
今日は早くに寝て、明日は少し早くに家を出て、会社で持ち帰った仕事を済ませよう。

翌朝、早めに家を出たおかげで電車では座る事が出来た。
視線を窓の外に向ける。見慣れた景色なのにそれを楽しそうに見つめる私が窓に映っていた。