連絡先を交換してくれませんか？

「連絡先を交換してくれませんか？」
私はそれに「いいよ」と気軽に答えた。
彼女とは今日出会ったばかりだが趣味も合うし、話していて楽しい。だからつい、了承してしまった。
連絡先を交換するとすぐに彼女のスマホに着信が。
電話に出る彼女。聞こえてくる声は私の会社の上司のもので、その内容は昨日私に頼んだ仕事の進捗具合を確かめる為のものだった。
それにつらつらと答える彼女。どういう事？
「さっきの連絡先交換で私は貴方に、貴方は私になったんです。交換してくれて、本当にありがとうございます」
彼女はそう言うと私の前からいなくなった。
「カーノジョ。どうしたの？悩みなら聞くよ？」
呆然とする私にブランドものに身を包んだ、軽薄そうな男が声をかけて来た。
もし、新しい人生を送れるのなら男になってみたかった私。金持ちみたいだし丁度いい。
私はスマホを取り出すと「連絡先を交換してくれませんか？」とお願いしていた。