窓からの景色

魂まで凍らせる恐ろしい声と嫌悪感を掻き立てるおぞましい姿を持つ私。
今日も館に侵入した不届き者の前にその姿を晒し「出て行け～！」と怒鳴りつける。
余りの恐怖に尻尾をまいて逃げる不届き者。あろうことか私を化物呼ばわりしやがった。
幽霊の私に何たる無礼！腹が立ったのでポルターガイストで少し怪我をさせてやる。
館から離れていく不届き者を見届け、息を吐く。
正直、もう限界が近い。私がここにいられるのもあと僅かだろう…
意識を集中させる。館内にもう生き物はいないか？危険なものはないか？問題なさそうだ。
ミシミシと音のし始める館。崩落が始まる。
この館も人が住まなくなって長い。そうなっては建物も死んだも同然…館であった私が幽霊となるのも不思議ではない。
窓の外に目を向ける。走馬灯というものだろう。かつて住んでいた者達が庭に見えた。
その姿に叶うなら、私は生まれ変わっても建物でありたいと願ってしまった。