窓からの景色

夢だ。夢を見てる。夢の中で私は家にいて、窓から外を眺める。
窓の外では私が友達と楽しそうにお喋りしていて、これからどこかに遊びに行こうとする。
歩き出す友達。私でない私が、窓辺に立つ私をちらりと見て笑う。
私は急いで家を出る。そして友達に「そいつは私の偽物だ！」と告げる。
私の宣告に、私でない私は苦しみ出すと消えてしまった。
こうして私は無事に私の居場所を取り戻しハッピーエンド。
陳腐な夢だと、自分でも笑ってしまう。
だけど同時に怖くもなる。この夢を見るのは初めてではない。
何度も何度も、私でない私は私を奪おうとしてくる。
だから私は自分が私である事を確かめる為に、起きると友達に連絡し家の外で会う。
私の夢の話を聞き「また？」なんて笑ってくれる友達。
その姿にホッとする。
良かった。私はまだあっち側ではない。
友達の目を見つめる。その瞳の中には友達がいて夢の中の私みたくこちらを眺めていた。