妻市

悪友Ｌに誘われて国際展示場に行った。会場には大小たくさんのブースと雑踏。
「展示品は妻！だ」とＬが言う。「気に入った品を妻にできる」「俺は既婚者だ」「車だって買い換えるだろう」
Ｌと会場を巡る。ブースごとに女性が一人。和風とかモダンとか年代とタイプがいろいろ。日本人の他に東南アジアとか欧米の女性も。「男は外車を好むか」Ｌはまた車の比喩で喋る。「気に入った女に会話できる、試乗だ。実際に乗るのは契約成立後だが」と笑う。
あるブースの４０代の女性と目があった。「俺は一回りしてくる」とＬは行ってしまった。女性と話すと楽しい。気持ちが乗ってきた頃にＬが戻ってきた。「いい雰囲気だな」俺は満更でもない。「彼女に決まりだ」とＬは離婚届と結婚届の書類を出した。「奥さんと別れてこの女性と結婚するんだ」「でも妻が」「奥さんは承諾済み。隣の夫市を見ているよ。ちなみに手続きは俺に任された」あ、Ｌは弁護士だったんだ。