シン舌切り雀

爺さんが帰ってきて小さなつづらを開けるとなんと金銀、宝珠、サンゴがごっそり入っているではないかいな。
婆さんはそれを見て慌てて雀のお宿に走った。
雀たちはわざわざようお越しくださったと心を尽くして婆さんをもてなし大いに楽しませた。
そして、婆さんがお宿を出る時、爺さんの時と同じようにどちらでもお好きな方をお持ち帰りくださいと小さなつづらと大きなつづらが差し出された。
婆さんは小さなつづらを選んだ。
さて、家にも持ち帰りつづらを開けると、空のつづらに手紙だけが入っとった。

「ところがどっこい小さなほうを選ぶ人がより打算的なんだわ。雀子より」

土産で喜ばせながらその裏で人を試すだなんて。お前さんたちが一番不道徳な行いをしとるわい。
この年になってもう財宝なんていらんわな。
それよりこの大きさのつづらがなかなかないんじゃ。爺さんとおそろで手に入ったわい。
婆さんはつづらに頬ずりした。