銀河寝台列車カシオペア

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うたた寝から覚めた翔は、天窓の外で煌めく星雲や星団を見て涙を浮かべた。
銀河寝台列車カシオペアは、恒星から発する光を動力に、カシオペア座を形作る五つの星の駅を目指し、天の川を浸り走りながら、乗客に永遠を提供している。
翔もその乗客の一人だった。

「ああ、皆元気にしているかな」

翔は小声で呟くと、身なりを整えて食堂車に向かった。
食堂車には同じく永遠を提供された乗客が、天鵞絨色のスープやライスを黙食していた。
永遠に若い容姿でいたい令嬢、永遠に会社を休みたいサラリーマン、誰もが車窓から北極星を眺め、銀のスプーンを口に運んでいる。
やがて、列車はγ駅に停車すると、北極星と地球間を走る直通特急が見えた。

「ああ、帰りたい」

翔は頬杖を突いて、物思いに耽った。
反して列車は、天の川の青白い光の中を動き出す。
終極星の永遠法により途中下車は許されず、今も、いつまでも、星巡りの旅を続けている。
SF
公開:24/10/06 22:37
更新:24/10/06 22:39
永遠 寝台列車 カシオペア座

社 真秀

空想世界を広げる為書き連ねます。アドバイス、ご指摘いただけると幸いです。

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