いたずら

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親父の葬儀会場に着いた。
親父と掴み合いの大喧嘩をして家を飛び出してから十年。
お袋は一瞬驚いた目をしたが何もなかったように顔を伏せる。
親戚たちはありありと憤怒の色を浮かべた。

当惑と軽蔑の視線を浴びながら俺は焼香台に歩む。
あの日から十年歳をとった親父の遺影。
線香をろうそくにかざす。
すると突然風が通ってろうそくの火が消えた。
ろうそくを替えるがまた風を受けて火が消えた。

弱った顔をして後ろを振り向くとお袋が心配そうな顔をしている。
親戚たちが顔を見合わせながら相変わらずだなと表情を緩めている。

遺影写真を見たら親父がザマアミロとベロを出している。
親父、アリガトウ。安らかに。
公開:24/10/06 15:48
更新:24/10/06 15:51

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