自転車のサトル

「最近さ、自転車の盗難が頻発しているらしいじゃん。だから俺、自転車にサトルを取り付けた」
『サトル？サドルじゃなくて？』
「サドルなんて１つあれば十分だろう。そうじゃなくてサトルだよ」
『サトルって何だよ…ゴジョー先生か？』
「俺の自転車が領域を展開したら怖ぇだろう！そうじゃなくてさ、自転車にサトルを取り付けると、自転車を盗んだ奴が悟るんだよ。『ああ…こんな事をしても無意味だ…』ってね。実際、この前自転車盗まれかけたけど、サトルのおかげで未遂で終わったよ」
『へ～、面白いものがあるもんだね。それ、見せてくれる？…って、無理か。お前、今日もこの後塾だろう？』
「いや、塾も自習も休む。勉強には息抜きが必要だって自転車漕いでいる時に悟ったんだ」
『お前も悟ったんかい！？』
「何なら君も乗ってみるかい？ただし、『遊んでばかりいないで勉強しなきゃ…』って悟るかもしれないから乗るのは後にしてくれよ」