窓からの景色

長引く入院生活。良くならない病状。私は己の死期を悟った。
窓の外、あの木の葉っぱが全て枯れ落ちる頃、私はもうこの世にいないだろう…本当にそうか？
もしあの木が年中葉をつけるものだったら？私はあの木の事を何も知らない。
だから目の前の木を調べた。時にはインタビューもした。
新緑の季節。青々とした葉っぱは木を饒舌にしてくれた。お喋りな木に何だって聞いた。
秋以降、葉っぱの落ちる季節ではこうはいかない。やっぱり葉っぱは枯れ落ちるんだ…
しかし近年の暑さを考えると１１月くらいまでは頑張れるそうだ。３月にはまた新しい葉っぱを芽吹かせるようだ。
葉っぱが落ちたところで…と話す木に、私はなんてちっぽけなものに命を懸けたんだろうと思った。
せっかくなら、この木が枯れるその時までは生きていようと思った。
すると木は樹齢百年以上を目指しているがいいか？と聞いてくる。
こりゃ是が非でも長生きしないといけないな。