雨の音

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少女はじっと雨の音を聞いている。

七年前のちょうど今ごろ子ども病棟のベッドの上だった。
入院した頃は同室のミィちゃんと仲良しだったが、病状が思うよりよくならないうちにだんだんミィちゃんの明るさが眩しすぎて羨ましくてイヤになってきた。

自分の元気を自慢してるんだ。

ランドセルの色を訊いてきたり。
好きな男の子がいるのか訊いてきたり。
ピーマンを残さず食べられるか訊いてきたり。
全部ウソで返した。
幼い少女の精一杯の反抗だったのだ。

ところが事実は少女が思うのと違っていた。
少女は先に退院した。
そして、季節が一つ変わった頃ミィちゃんがお星さまになったことを聞いた。

生きろ!

自ら灯を小さくした私の暗い顔を叱ったのだ。
幼いミィちゃんの精一杯の思いやりだったのだ。

少女はじっと雨の音を聞いている。
微笑みを空に見せながら
雨の言葉を聞いている。
公開:24/09/30 19:07
更新:24/09/30 19:14

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