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ばあさんはじいさんの手をとり、ありがとう、と言った。
じいさんは恥ずかしさと嬉しさとが混ざった表情を見せた後ゆっくり目を閉じた。
あの日もこんな表情をしていた。
デートの帰り道、ばあさんはじいさんからどもりながら何かを言われた。
よく聞き取れないまま、はい、と相槌を打ったとたん、じいさんは、やったあぁ!と飛び上がって喜んだ。
それはじいさんの結婚の申し込みだったのだ。
じいさんのあまりの喜びようにばあさんはとても話を巻き戻すことができなかった。
とにもかくにもあれからずっと一緒に歩いてきた。
ばあさんは、あの時は実はね、とじいさんに冗談めかして打ち明けたことはない。
あの日のことがじいさんの一番大切にしている勲章だと知っているから。
そして、
ばあさんにとっても一番の勲章だから。
病室はにわかに騒がしくなるが、ばあさんは微笑みを浮かべたままじいさんの手を離さない。
じいさんは恥ずかしさと嬉しさとが混ざった表情を見せた後ゆっくり目を閉じた。
あの日もこんな表情をしていた。
デートの帰り道、ばあさんはじいさんからどもりながら何かを言われた。
よく聞き取れないまま、はい、と相槌を打ったとたん、じいさんは、やったあぁ!と飛び上がって喜んだ。
それはじいさんの結婚の申し込みだったのだ。
じいさんのあまりの喜びようにばあさんはとても話を巻き戻すことができなかった。
とにもかくにもあれからずっと一緒に歩いてきた。
ばあさんは、あの時は実はね、とじいさんに冗談めかして打ち明けたことはない。
あの日のことがじいさんの一番大切にしている勲章だと知っているから。
そして、
ばあさんにとっても一番の勲章だから。
病室はにわかに騒がしくなるが、ばあさんは微笑みを浮かべたままじいさんの手を離さない。
公開:24/10/02 21:15
更新:24/10/03 20:43
更新:24/10/03 20:43
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