服に困るサンマ

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「ま~ちゃんは今日も可愛いねぇ…はぁ…癒されるぅ~」

目の下にクマのある白衣の女性がうっとり見つめているのは、ピンクのリボンに白のフリフリワンピースを着た小さなサンマ。水槽の中でスカートの裾を揺らして泳ぐ姿はサンマというよりもはや金魚だ。

(はぁ……)

サンマが溜息をつくと、小さな泡がぷくくと笑って水面へ昇る。

(もっとシックな服がいい…)

その場でクルクルと泳いで自分の服を確認するサンマの様子を、女性は喜んでいると思っているみたいだ。

(…私、秋の刀の魚と書いて秋刀魚だよ?)

まーちゃんは着せ替えサンマといって、安定したサンマの供給を目的とした研究中に偶然生まれたお洒落サンマの一種だった。
飼い主であり生みの親でもあるこの研究員はいつもまーちゃんに可愛い服を着せるのだが、まーちゃんが目指すのはクールビューティー。
まーちゃんの憂鬱な泳ぎが、今日も水槽内で小さな渦を巻く。
ファンタジー
公開:24/10/02 10:30
更新:25/03/26 18:11
研究室ライブ 予約投稿

花笑みの旅人( 気の向くまま )

ページを開いてくださったあなたに感謝です(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)/

7月は時々投稿するかもですが夏休み継続中。お酒、温泉たまご、冷奴、枝豆、アイスあたりが最近の生きる希望ですねぇ

※更新されると消えてしまう感じを私は好んでいたのかもしれないと気づいたので、基本的にラジオ関連の作品は今後公開しないと思います〜

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