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 世界が終わる日も、私は学校の保健室にいた。
 他のベッドには誰もいなかった。保健の先生もいなかった。
 世界が終わる日、保健室にいるのは私だけだった。

 入学時、五月の誕生日までには友だちを一人作ろうと思っていた。
 誕生日の後、夏休みまでには友だちを一人作ろうと思っていた。
 夏休みを待たずして、世界は終わることになった。

 みんな、今頃はそれぞれの友だちや家族や恋人と最後の時を過ごしていることだろう。
 私は一人で、学校の保健室にいた。
 ベッドに横たわって、白い天井がだんだん赤くなるのを、じっと見ていた。
 窓の外で、風が、強くなってきた。 
青春
公開:24/09/25 21:23

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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