【妖怪小噺】雨降り小僧、時々晴れ

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「神様なんていないんだ…」

明日は、僕がみんなのヒーローになれる運動会だ。
でも、予報は雨。

トボトボと学校からの帰り道、十字路に差し掛かった。

「しったげおもしぇ柄だな…」

驚いて立ち止まると、不思議な子が立っていた。
今日はまだ雨は降っていない。
なのに、黄色い合羽、右手に赤い傘、左手には懐中電灯を持っている。
その子は、念のためにと持たされた僕の傘をじっと見つめていた。

もう雨を連想するものは見たくない。
「あげるよ。こんなの」
「ほんにえのけ?んなら、主様にお願いしておぐ」
「うぇ?」

その子は消えていた。

次の日は快晴。僕はヒーローになれた。
運動会から帰ると、あげたはずの傘が玄関に立てかけてあった。

このことを、おばあちゃんに教えたんだ。
「その子は空の神様にお仕えしている子だねぇ。ご主人様に叱られて、傘を返しに来たんだわ」
「へぇ、やっぱり神様っているんだ!」
ファンタジー
公開:24/09/28 10:16
更新:24/09/28 10:14
妖怪 雨降り小僧 妖怪小噺

鳳一

作品を読んでいただきありがとうございます!

最近色々な小説を読んでいたら、自分でも挑戦をしたくなりました!
ド初心者ですが、みなさんが楽しめるようなお話が書けるように頑張りますー!

「妖怪」の説話・由来などをもとにしたショートストーリー「妖怪小噺」シリーズを制作中!
妖怪・都市伝説・怪談などが好きです!お友達も募集しておりますので、ぜひ仲良くしてください!

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