店員のお勧め　～特別価格～

そろそろ彼女との同棲を考え、家電量販店にやって来た。
…うん。さっぱりわからん。俺も彼女も今は実家暮らし。二人の生活に何が必要になるんだ？
「お客様。お困りですか？」
声をかけてきた店員に事情を話す。
「それなら、お二人の初めての同棲。私が全力でサポートさせて頂きます」
店員は俺達のライフスタイルにピタリと合った家電を次々と見繕ってくれる。無駄のないそれらは購入確定だ。
ただ、値段がなぁ…これ全部となるとさすがに厳しい。
「ご安心下さい。こちら、ステゴロ価格にて購入できます」と値段を見せてきた店員。マジで安い…
お手頃価格だろ、と突っ込む。
すると店員は突然、自身の顔を掴むとその皮膚を剥ぎ取った。
「ステゴロ価格で間違いないよ。娘と同棲したくば私を倒す事だな」
そんな！今まで店員に扮して俺達を接客していたのがお義父さんだったなんて！
俺は拳を握る。容易くない、負けられない戦いが今、始まる。