経験血

「君は絵は上手いけど、作品に深みがない。経験値不足だね」
俺の持ち込んだ漫画を読んだ担当が評価を告げる。
どうしたら作品が良くなるか、尊敬するN先生の担当でもある貴方の意見をもっと聞かせて欲しい。
「そうだね…もし君が今の路線のままやっていきたいのなら…N先生の血液を君に輸血するってのも手だ。血液ドーピング。本来やっちゃいけない事だが、N先生の血液を輸血するとN先生の経験血が君の体内を巡る。どうする？」
どうするもこうするも、N先生の経験値がそれで手に入るならとお願いした。
N先生の血液を輸血すると見える世界が変わった。
俺の漫画の何がいけないかすぐに分かったし、俺はN先生の描く漫画が描けるようになった。
ただし血液ドーピングの影響で俺はN先生と同じ病気を抱えてしまった…オリジナルのN先生はそれが原因で１０年前に亡くなったそうだ。
今のN先生は７代目で、順調にいけば９代目は俺になるそうだ。