満ち満ちる

『こんや、ぎいんしょくどうを、はかいします』

新聞の切り抜きで作られた脅迫状が今朝、儂のもとに届いた。
実に不愉快だ。この仕事は食事だけが楽しみだと言うのに！
急ぎ警備に調べさせるも議員食堂には危険物はおろか塵一つ落ちていない。
下らない嘘に振り回され、腹が立って仕方がない！
儂は席に座ると美味い料理を持って来いと怒鳴りつける。マズい料理を出したらその料理人は即クビにしてやるつもりだ。
だが、今日の料理人は当たりだった。
美味い料理が次々と出てくる。いくらでも食えてしまう。
空腹は最高のスパイスとはよく言ったものだ。儂は腹がはちきれんくらいに美味い料理を食べに食べまくった。
…少々食べ過ぎたようだ。
吐き気に襲われる儂の口を料理人が塞いだ。食べたものが喉を逆流してくるも吐き出せない！
呼吸もままならず、逃げ場のないそれに苦しむ儂を見て料理人は言った。
「議員さん、貴方の食道を破壊します」