悪魔の万年筆

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「金が欲しい」

真っ黒な万年筆で真っ白な紙に男が文字を書いた。

すると【金】はじわりと浮き出し金貨に姿を変えた。

「素晴らしい!噂は本当だったか!」

男は歓喜した。

それもそのはず、この万年筆があれば書くだけで何でも手に入るのだから。

「金が欲しい!もっとだ!」

【金】はじわりと浮き出し金貨に姿を変えた。

「金が欲しい!おっと、それから女もだ!」

【金】【女】はじわりと浮き出し金貨に美女に姿を変えた。

男は金貨と美女に囲まれた空間が堪らなかった。

男は強欲だった。ひたすら金貨と美女を手に入れ続けた。

男は貧相だった。何も買えない日が幾日も続いた。だから金が欲しかった。

男は醜かった。誰からも愛されなかった。愛されず歳だけを取っていった。だから女が欲しかった。

男は金貨と美女に押し潰された。

血が万年筆を流れ、紙はじわりと真っ赤に染まり、インクを出し終えた。
ホラー
公開:24/09/22 12:00
万年筆 悪魔 欲は身を亡ぼす

社 真秀

空想世界を広げる為書き連ねます。アドバイス、ご指摘いただけると幸いです。

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