満ち満ちる

月の裏側を調査していた我々はまるでSF映画に出てくるような巨大建造物を発見した。信じられない…
我々は意を決して中へと入る。いくつもの厳重な扉を潜り抜けると、そこにあったのは美しい森だった。
「ようこそ地球の民。はじめまして」
そう言って我々を出迎えたのは兎頭の人間。
「私達は月の民。地球の民より少しだけ進んだ技術を持った人間です。なので申し訳ありませんが、お帰り頂けるでしょうか？ここは貴方達にはまだ早すぎる」
はいそうですか、と我々も帰るわけには行かん。そうだな…せめてここの空気を吸わせてくれ。機械がここの空気は安全だと言っている。
「…止めても無駄でしょう。お好きにどうぞ」
宇宙服のヘルメットを脱ぐ。久しぶりの緑に思いっきり深呼吸をする。
…気が付くと我々は倒れていた。
「ここの酸素は地球の民には濃すぎるんです。満ち満ちた酸素は体に害しか与えませんよ」
それをもっと早くに知りたかった…