形状記憶プリン

「新製品を発表します。形状記憶プリン！」
「何かの形を記憶して容器から出すとプリンがその形状になるんですね」
「形状を記憶させたプリンではなく、記憶を形状にするプリンです」
「ちょっと難しいです」
「あらかじめ形状を覚えるのではなく、記憶を容器から出たプリンが形にします」
「まだわかりません。具体例を教えて下さい」
「容器を開封する人の記憶をプリンが察知してその形状を表現するんです」
「開封する人によってプリンの形が変わるってことですか」
「同じ人でも開封するたびに異なる記憶を形状にします」
「その記憶というのは？」
「開封時に思いついた記憶もあれば、根強く持っている記憶もあります。プリンは適宜推測します。記者さん、試しますか」
「喜んで。では開封しますね」
記者が容器の蓋をめくるとプリンがぶるりと出て、まるい豊満な乳房の形になって皿に乗った。
「あ、私が好きな形なんです、は、は、は、汗」