満ち満ちる

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怪奇小説家だった父の部屋はいつだって煙が充満していた。
昭和という時代、煙草は大人の男のアクセサリーみたいなもの。あの煙は、煙草の煙とばかり思っていた。
だが父の部屋には吸い殻の一本も落ちていない。マッチ一本落ちていない。
火のない所に煙は立たぬ。ではこの煙は一体何だ?
父は執筆中、しきりに指を擦り合わせていた。擦り合わせた指から煙が出てくる。
驚くのはそれだけじゃない。煙の中からオバケが出て来ては父に何やら話しかけている。父はそれを書き留めていた。
父はオバケに憑りつかれている!
「大丈夫。あれはオバケけむりで出て来た、いいオバケだから」
母に相談するとそんな言葉と共に指に何かを塗られた。
「擦ってみなさい」
指を擦ると煙が出てきて、煙の中からオバケも出て来た。
『ありゃ?あっしを呼んだのは旦那じゃねぇんですか?』
そのオバケを父の部屋へと連れていくと沢山のオバケが私を迎えてくれた。
公開:24/09/12 20:59

幸運な野良猫

yahoo!サーバーに問題が発生したらしく2022年9月1日より2週間入れなかったので新規にアカウント取得。
半年以上毎日Yahoo!IDでログインを試みるも、現在進行形でログインできない状態です。#EY003って何だ?
運営に報告するも、ずっと無視されております。自動応答メールだけが返ってくる…1年経過で、もう諦めた…

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