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少年は駄菓子屋で買ったラムネを手に大木の陰を見つけた。駆け込むと先客がいた。
「暑いね。ここで何をしてるの」
「ずっと何もしていない。をしているのかな」先客は呟いた。
「サボってるんだね。駅前で沢山見たよ」少年はラムネを一口飲んだ。
「彼らは優秀だから。僕はB玉なんだよ」「B玉?」
先客はラムネの瓶を指さす。
「それの蓋として使用できる規格に合格したガラス玉がA玉。以外の不良品はB玉なのさ」
「君は不良品なの」「僕らの規格においては、だけどね。僕は僕さ」
「じゃあ、僕も学校が嫌で抜け出してきたから同じだ。不良品だ」
「それは違う。君たちに置いてはそれが正常なんだよ。だから僕達がいるんだ」
「いたぞ!」
その声に振り向くと、二人組の労働型AIロボットが立っていた。銀色の先客とは色が違う。
金色の彼らは先客を強引に立たせた。

同じ形をした3つの背中が遠ざかるのを少年はずっと眺めていた。
SF
公開:24/09/12 09:01
更新:24/09/12 13:09

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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