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「わぁ、待って〜!」

河童の皿流れ。
川釣りをしていたら上流から皿が流れてきて、それを河童が全力疾走で川辺から追いかけているのが見えた。泳いだ方が早いのでは…?と思いつつ、ちょうど私の足下へ流れてきたから拾いあげた。

「どうぞ」

息切れする河童に皿を渡すと「ありがとう!」と皿に頬擦りして喜ぶ。それから「ぜひお礼を!」と言って、大切な皿をタンバリンみたいにペペンと叩きながら踊り始めた。割れたりしないだろうか?と心配しながら見ていると、ペペンと叩いた拍子に何かがキラリと跳ねて私の手の平へコロンと着地した。河童の皿のようなものがついた薄緑色の丸い宝石だった。

「それはカッパール!河童は皿の中の水で真珠を磨いて育てているんだ♪実はその時うっかり手を滑らせて…てへへ」

河童に尻子玉を抜かれたら腑抜けになると聞いていたから実は少し怖かったのだが、愛嬌のある河童のようすに安心して気が抜けた。
ファンタジー
公開:24/09/12 08:30
更新:24/12/20 07:30

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

 

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